剥離紙
剥離紙とは
剥離紙や剥離フィルムは、粘着紙やフィルムの粘着面に接着し、保護するだけでなく、その剥がれやすい性質を活かすことで様々な粘着質な製品の製造工程に使われたり、梱包材として使用されています。
そのため、一言で「剥離紙/剥離フィルム」と言っても、その構成や構成する物質の性質は様々です。どんな種類の剥離紙があるのでしょうか。
剥離紙は大きく分けて2種の構成があります。
「目止め層のあるタイプ」と、「目止め層のないタイプ」です。
剥離紙とは「剥がれやすい紙」ですが、その剥がれやすさを実現しているのは剥離剤です。その剥離剤を基材に塗布することで、剥がれやすいシートが形成されますが、基材の種類により、剥離剤が基材に浸透してしまい、均一に塗布されなかったり、剥離性にムラが生じたりします。
この剥離剤の塗布をムラなく均一に施すために、紙への浸透を防ぐ目止め層が必要となります。
一方、基材がフィルムや、グラシン紙など剥離剤が浸透しにくいものであれば、目止め層を設ける必要はありません。
剥離材を塗布するためのベースになる基材は紙系とフィルム系に大別されます。
基材
紙基材
紙の基材の場合、材料としては上質紙、クラフト紙、グラシン紙が多く使用されます。
上質紙は紙基材の中では最も安価で汎用性が高く、通気性・寸法安定性・クッション性などにおいて優れていますが、目止め層なしにそのまま剥離剤を塗ると紙に浸透してしまうため、目止め層が必要となります。
また、紙粉も発生するため、クリーン度の高い環境での使用には適していません。
クラフト紙は上質紙に比べて強度があるため、包装する用途に適しています。
目止め層は上質紙と同様必要で、紙粉も同様に生じるためクリーン性はありません、
グラシン紙は紙の叩解の度合いを高めた密度の高い紙です。
そのため、表面の凹凸は他の紙に比べ少なく、平滑性の高い紙です。
また、紙の密度が高く、紙の繊維間の隙間が非常に小さいため、剥離剤を目止め層なしに直接塗布することができます。
その一方で、グラシン紙は湿度の影響を受けやすいため、寸法安定性が悪くカールが発生しがちです。
フィルム基材
フィルム機材としては、PETやPP、PEが多く使用されます。
フィルムは紙粉のような細かなゴミは発生しにくく、光透過性・平滑性・耐水性・強度・厚薄の差が小さい点において優れています。
PETとPPを比較した場合、PETの方が強度があり、耐熱性にも優れていますが、PETはPPと比べ硬いため、基材になるPETとそれ以外の材質の硬さの違いで、巻取にした場合、シワや割れなどが発生するケースがあります。
このように、紙基材と同様にフィルム基材も用途に合わせてそれに適した材質のフィルムが選定されます。
目止め層
目止め層にはラミネートフィルムやクレー、PVAなどが使用されます。剥離紙が使用される環境やその目的により、耐熱性や打抜き適性、耐水性など必要とされる性能が異なります。その必要とされる性能を再現するのに最適な目止め材が選定されます。
剥離剤
剥離剤はシリコーン系と非シリコーン系に分けられます。
シリコーン系はひろく使用されており、剥離性も高く(剥がれやすいことを指します。一般的には剥がれやすい=軽い、剥がれにくい=重いと言います)、様々なメーカーがシリコーン系剥離紙を生産しています。
しかし、電子機器部品に直接影響、または間接的に接触する用途の場合は、シリコーンから発生するガスが機器に影響を与える可能性があるため、非シリコーン系が多く使われます。また、シリコーンだと軽すぎる場合も非シリコーン系が使われます。
非シリコーン系はその名の通り、シリコーンを使用しない剥離剤です。
電子機器の製造工程紙などシリコーンが与える影響が懸念される場合に使用されます。また、ゴム製品の製造時など、シリコーン系の剥離剤だと剥がれ易すぎる場合にも使用されています。
TPXやアルキッド樹脂、PPやPET単体などお客様の用途に合った様々なものが存在しています。
まとめ
剥離紙には以上のように様々な構成があります。
そのため、お客様の用途や剥離紙を使用する目的、使用される環境により使用できる剥離紙も限定されます。
弊社では一般的な剥離紙の販売からお客様のご希望に合わせた数千Mからの特注生産など様々な方法で剥離紙のご提案を行っております。
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